「失敗」という言葉を聞くと、多くの人はマイナスなイメージを抱きます。
恥ずかしいこと、避けたいこと、できれば他人には知られたくないこと…。
でも、私はこの「失敗」からこそ最も多くのことを学び、今の自分の軸をつくることができたと実感しています。
今日は、私自身が経験した“しくじり体験”を通して感じた、**「失敗の本質」**についてお伝えします。
■ 勢いで走り出した、最初の起業
私は20代の頃、会社員を辞めて起業しました。
当時は「自分の力で成功したい」「社長になりたい」という想いが強く、勢いに任せて事業を立ち上げました。
ビジネスモデルは、ブライダル・ベビーギフトの分野。
「絵の消えない石けん」というオリジナル商品をつくり、百貨店やカタログ通販にも掲載されるなど、順調に見えた時期もありました。
しかし、結果としてこの事業は大きな壁にぶつかります。
販売チャネルの拡大、人材の採用、在庫の管理、資金繰り…。
どれも初めての経験で、私は“目の前の仕事をこなす”ことに必死で、「経営」を見ていなかったのです。
気がつけば、売上はあっても利益が残らない。
取引先への支払いに追われ、精神的にも限界に近い状態になっていました。
■ 失敗の原因は「準備不足」ではなかった
当時の私は、「もっと準備しておけばよかった」と何度も自分を責めました。
しかし、後になって冷静に振り返ると、それは単なる準備不足ではなかったと気づきました。
本当の原因は、**「思考不足」**だったのです。
どうすれば利益を生み出せるか?
お客様が本当に求めている価値は何か?
リスクをどう回避するか?
これらを“考え抜く力”が足りていなかった。
「やりたい」「できそう」「勢いでいける」──そうした感情の延長で意思決定をしていたのです。
起業とは、情熱だけでは成立しません。
ビジョンと現実、理想と数字のバランスを取りながら、“冷静な思考”で舵を取る必要があります。
■ 「失敗の本質」は、気づきをもたらす“鏡”
このしくじりを経て、私は「失敗とは、気づきを映す鏡だ」と考えるようになりました。
うまくいかないときほど、自分の考え方・行動・人間関係・価値観の“弱点”が浮き彫りになります。
つまり、失敗は「終わり」ではなく、「次に何を変えるべきか」を教えてくれる先生のような存在です。
実際、最初の事業で痛い思いをしたことで、次のビジネスでは資金管理の仕組みを徹底しました。
また、「自分がやりたいこと」ではなく、「お客様が求めていること」から出発する重要性も体で理解できました。
もし、最初の事業が“そこそこ成功していた”ら、この学びは得られなかったでしょう。
失敗は確かにつらいですが、その中にこそ、自分を成長させる原石が隠れています。
■ セカンドキャリア起業こそ、“過去の失敗”が宝になる
セカンドキャリアとして起業を目指す方の多くは、「失敗したくない」と考えます。
ですが、私は声を大にして言いたい。
「過去の失敗こそ、あなたの最大の資産になる」 と。
なぜなら、そこには「二度と同じ過ちを繰り返さない知恵」が詰まっているからです。
たとえば、人間関係で失敗した人は、相手との距離感を見極める力が身につきます。
お金で苦労した人は、堅実な経営感覚を持てるようになります。
そして、焦って決断して失敗した人は、「待つ力」「引く勇気」を学びます。
セカンドキャリア起業では、この“経験の棚卸し”がとても重要です。
成功体験よりも、むしろ「どんな失敗をして、どう乗り越えたか?」が、あなたのストーリーをつくり、共感を呼びます。
■ 失敗を恐れず、“小さく試す”勇気を持とう
では、これから起業を目指す人が「失敗を学びに変える」ためには、どうすればいいでしょうか。
私の答えはシンプルです。
「小さく試して、すぐ修正すること」。
いきなり大きな投資をしたり、すべて完璧に準備しようとしたりする必要はありません。
まずは小さな実験から始めて、反応を見ながら軌道修正する。
このプロセスを繰り返すことで、失敗のリスクは自然と減っていきます。
そして、たとえうまくいかなくても、それは「失敗」ではなく「データ」になる。
次のステップに活かせる材料になるのです。
■ “失敗体験”を語れる人は、信頼される
意外かもしれませんが、ビジネスの世界で最も信頼を得やすいのは、完璧な人ではなく、失敗を語れる人です。
「失敗も経験してきた上で、それでも前に進んでいる」
その姿勢に、人は共感し、信頼を寄せます。
私自身も、過去の失敗を隠さずに話すようになってから、相談を受けることが増えました。
人は成功よりも「共感」に心を動かされるものです。
だからこそ、あなたの失敗体験には価値があるのです。
■ まとめ|失敗の本質は、“考え抜く力”と“学び続ける姿勢”
失敗を避けるのではなく、そこから何を学び、どう活かすか。
それこそが、セカンドキャリア起業の成功を左右する“本質”です。
私がこれまでの経験で得た教訓を一言でまとめるなら──
「失敗の本質とは、思考停止にある」
考えることをやめたとき、人は同じ過ちを繰り返します。
しかし、考え続け、学び続ける限り、失敗は必ず糧になる。
あなたも、これまでの人生で経験した“失敗”を見つめ直してみてください。
そこには、きっと未来へのヒントが隠れています。



